フランスワイン留学

フランスワイン留学

ブドウ栽培からワイン生産までの工程を実際に体験して学ぶ

ボーヌに来てから半年以上が過ぎましたが、知りたいことがどんどん増えています。ワインの探究はこれからもずっと続きます。

フランスでBPソムリエの試験に合格

尾形 万理子 様

大学在学中、語学留学先のブルゴーニュで日本人ソムリエに出会いワインの世界にのめり込む。卒業後、酒類専門店へ入社。2017年ソムリエ資格を取得。2018年8月よりボーヌCFPPAで学ぶ。

留学までのステップ [社会人⇒留学]

学生時代
ディジョン(ブルゴーニュ大学CIEF)に10ヶ月間の語学留学をする

社会人
酒類業界で販売職・副店長として3年間の経験を積む。ソムリエ資格を取得

フランス ワイン留学
CFPPAのBPAコースでブドウ栽培、ワイン生産者の仕事を学ぶ

ボーヌ農業促進・職業訓練センター BPAコース

― ワイン留学にボーヌを選んだ理由を教えてください。

日仏文化協会を通してのフランス留学は今回が2回目になります。学生時代、ディジョンに10ヶ月間の語学留学をしたのですが、そこでワインに出会ったのがきっかけで、大学卒業後の職業にワイン販売職を選びました。「いつかまたブルゴーニュにワインを学びに戻って来たい!」という思いから、前回と同じ地方のワインの街ボーヌにある農業促進・職業訓練センター(CFPPA)で学ぶことに決めました。私が選んだコースはBPA(Brevet Professionnel Agricole)です。このコースではワインの醸造を学ぶだけでなく、ブドウ畑での仕事を10ヶ月のサイクルで体験できます。ブドウからワインになるまでの工程を実際に見て体験できるという点から、帰国後に酒類販売業に戻る自分のスキルアップにふさわしいと考えました。

― 授業ではどのようなことを学ぶのですか?

2018年のコースはブドウの収穫時期が早い年だったため、8月下旬からスタートしました。まず学校で3日間の授業があり、その後1ヶ月間、各自探したドメーヌで研修します。収穫期間なので主にブドウの収穫や仕込みを体験します。この研修が終わる10月から学校での授業が本格的に始まります。研修期間は最初の1ヶ月以外に12月から月に1週間ずつあります。
授業は8h30~17h00までの7時間(昼休みが1時間半)あります。学校の授業は座学(光合成などの植物のメカニズムや病気、ワインの醸造、土壌の違いについて、フランスで農業に従事するための条件や規則などを学びます)はもちろんのこと、畑を耕す農業機械の操縦や、剪定などのブドウ畑での仕事、ワインの味の欠陥となる点を探る授業もあります。これだけブドウに関する本格的な授業があるので、このコースを卒業してブルゴーニュで自分のドメーヌを立ち上げた方もいますし、入ったお店のワイン部門担当者が偶然卒業生だったということもありました。
私の好きな授業は畑での課外授業です。10月下旬から始まり、剪定の試験が近づくと週2回授業になります。今までこのように植物に触れる機会がなかったので、植物の形状を観察したり、実際に触れるのがとても面白いです。しかしなんといっても、課外授業の醍醐味は昼休みにあります!午前の授業が終わっても学校には帰らず、皆畑に残りBBQをするのです。

― BBQランチですか。楽しそうですね!

周辺に落ちている枝を集めて火をおこし、パンを切りワインをサーブします。各自担当がありスナックや食材、ワインを用意する人もいます。このBBQの面白さは、毎回違う人が肉とワインの用意を担当するところにあります。もう数え切れないくらいやっていますが、自分の研修先のワインを持ってくる人もいるので、飲んだことのないワインを味わうことができ、自分で用意する場合にもどこのワインを選ぶか楽しくなります。毎回皆でワイワイ言いながら楽しく飲んでいます。授業ではありませんが、この時間もワインを知るとても良い機会となっていると思います。外での授業は寒く腰も痛くなりますが、このBBQで午後も楽しく学ぶことができます。

― クラスメイトはどのような方がいらっしゃいますか?

今年度のBPAコースの人数は10名。フランス人5名、日本人4名、中国人1名で、比較的少人数でアジア人の割合が例年より高いそうです。少人数なので、授業も休憩中も仲良く過ごしています。実際の座学は前回の語学留学の時とは異なり、フランス人向けの速さでの解説と板書で進行するので、外国人の私にはかなり難しいのですが、フランス人のクラスメイトがかなり強力なサポーターになってくれています。彼らは勉強熱心ですし、私たち外国人の真剣さを認めてくれているからかもしれません。また、私が授業についていくのに必死で努力している姿を見たり、皆の勉強がはかどるように作成した資料やAOCに関する知識をシェアしたりすることで、クラスメイトの一人として認めてもらえているのだと思います。日々お互いに切磋琢磨して良い関係を築けているのも、BBQの絆があるからかもしれません。

― 休日はどのように過ごしていますか?

平日は専ら授業の復習に時間を割いていますが、土日はマルシェで買い物をしたり、プライベートで近隣のワインイベントへの参加やドメーヌ訪問もしています。
ボーヌという土地柄、ワインのイベント情報が豊富で、クラスメイトや先生、学校を通しても情報がたくさん集まってきます。先日は車で1時間かけてジュラ地方のヴァン・ジョーヌ(Vin jaune)のお祭りに行ってきました。樽の取扱いとその効果に関する講義を担当する先生がジュラ出身で、休憩中にワインの雑談をした時にこのお祭りの情報を教えてもらいました。現地では、観光客が皆無のこのイベントにやって来た日本人の私を見て、皆から話しかけられました。外国人の私がどうしてこのようにローカルなイベントを知ったのか気になったようです。ソムリエ試験で習ってはいましたが、ヴァン・ジョーヌを飲むのは今回が初めてで「くるみの香り」とはこういうことなのだ!という発見がありました。
また、冬休みの長期休暇にはドイツのワイナリーを見学してきました。フランケン地方のワインの品種はブルゴーニュのブドウ品種と異なるので飲むのも面白く、気候や街並みだけでなく誰に向けて作るのかも異なりました。フランスのボーヌで研修してから別の地域や周辺諸国へ行き、比較ができたのは面白かったです。ドイツを知ることでよりフランスのことが分かるような気がしました。

― 本場でワインを学ぶことの醍醐味とは何でしょうか?

BPAコースでは本や参考書には載っていない情報を得たり、実際に体験するので、それがさらなる探求心へとつながります。私自身ブドウ畑を耕すトラクターの操縦までするとは想像していませんでした。月日が経つにつれ、知りたいことがどんどん増えています。留学は5月末で終わりますが、ワインの探究はこれからもずっと続きます。フランスでワインを学ぶことの醍醐味は造り手をより近くで感じられることです。醸造方法を理解した上でドメーヌを訪れると、質問する内容も深くなります。キラキラした表情で造り手が、ワイン造りの哲学やワインへの愛を語るのを目の前にすると熱くなります。本当にこれがまさに私がしたかったことなんだと実感します!彼らの想いを日本の人々に広めようという使命感も出てきます。

  • 課外授業の醍醐味はクラスメイトとのBBQランチ

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  • 休暇を利用してドイツのワイナリーを訪問

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  • ブドウ収穫研修先でのランチタイム

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