杉山様 パリ留学
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初めてのヨーロッパ。3か月弱という短い期間ですが、できるだけ多くの体験をしようと期待に胸をふくらませ、7月11日にパリに到着しました。すぐに滞在先国際学生都市のモナコ館に向かいました。ここは学生寮がたくさんあり、それぞれに国の名前がついています。日本でイメージする寮とは全く違う美しい建物ばかりでした。
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パリの南に位置しているため地図で見る限り遠いものだ思っていましたが、実際は電車で15分くらいでどこへでもいけるところでした。インターネットもすぐつながり、共同キッチンは私のお部屋のすぐ近くにあったのでなにも不便はありませんでした。
学校はリュテスラングというアットホームな学校、少人数制だったので多くても7人で、常に話す機会があり、笑いの絶えない楽しいクラスでした。一週間という短い期間の学生もいるため、毎週月曜にメンバーが変わり、自分が進級したのか、ただ単にメンバーが新しく入ったのか、分かりにくいということは感じました。最初のクラスはアメリカ人、ポーランド人、アイルランド人、スペイン人、イタリア人と多国籍のクラスで年齢も13歳から59歳の方までいらっしゃいました。
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それぞれ自分の国に誇りをもち、しっかり語る姿は勉強になりました。先生は熱心にフランスのことを教えてくださり、とても国際的な環境であったと思います。授業はとても早く進み、文法はあっという間に過去形に入り、未来形にまで進みました。辞書はもっていったのですが、日本語の文法書をもってくるべきだったと何度も思いました。話したいことが十分話せないイライラ感は全員が同じ。それでも授業が終わったあと、フランス語だけでお茶をしようとクラスメートと近くのカフェに入り、コーヒー一杯でめちゃくちゃなフランス語で話しあったのはとてもいい思い出です。
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後に進級したクラスでは7人のうち、5人が日本人でしたがフランス語を学びたいと同じ目的をもった仲間だったので休憩時間もフランス語を話そうとしていました。あるとき、アメリカ人のクラスメートがその日の午後にフランス語で就職の面接があるので緊張しているという話を授業中にしたところ、授業終了時、先生が時間のある人は少し残ってと言い、残っていたら就職面接のある彼女の練習に付き合って欲しいとのことでした。残った生徒たちで面接官になり彼女はそれに答えるという形で練習をしました。彼女が発言した部分の間違いを指摘し、よりよい表現などを黒板に書いて教えてくれました。もちろん面接のない我々にも大変勉強になり、なんて心のこもったレッスンなんだろうと先生の熱心さと思いやりに感動しました。
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リュテスラングでは学校以外での課外活動は特になかったので授業のあと、クラスメートとお昼を食べたり、美術館に一緒にいったりしました。週末はできるだけ旅行をしようと思っていたので、ロワール古城、モンサンミッシェル、ロンドン、ニース・モナコ、アヌシー、ウィーンへと足を運びました。
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今回、学校の友人だけでなく、現地のフランス人ともふれあおうと日本で友人に紹介していただいた方々に積極的に連絡をとってみました。みなさん、心よく受け入れてくれて、フランス人たちが集まる場所に何度となく参加させていただき、とてもいい経験になりました。日本では仕事のあとはご飯や飲みに行こうといった感じですが、季節がらもあったのかもしれませんがフランスではピクニックが多かったです。セーヌ川沿いやルーブル美術館の前、リュクセンブルグ公園やアンバリッドの前などでみんなで集まりワインを飲みながら長時間お話をするというのが伝統なのでしょうか。お金をかけずにその場をただ楽しんでいる姿は言葉にはできないほど素敵な空間でした。また、人々は自国フランスを愛し、その土地の知識がものすごくあると感じました。同じように東京を語れるだろうかと考えると、日本についてもっと勉強をしようと改めて思いました。
もちろん、今回の滞在はすべてがスムーズにいったわけではありません。何度となく、道に迷ったり、メトロのパスが急に使えなくなってしまってこまったり、後に引っ越したアパルトマンには洗濯機がなかったためコインランドリーを探して歩き回ったり、いろいろとありましたが、そのたびに多くの現地の方々に助けていただきました。外国に住むということ、言葉が通じない不安な気持ちも改めて実感しました。私は日本に住む外国人の秘書を10年程していましたが、彼らがどのような時に不安に思い、どのような時に助けが必要なのかを再認識するとてもよい機会だったと思います。今後も同じような仕事につく予定をしていますが、フランスでうけた「心からのサービス」を忘れず同じことを日本でもできるよう精進して行きたいと強く思いました。
留学前から日仏文化協会のスタッフの方々に大変お世話になりました。初めての留学だったので不安もいっぱいでしたが今回の留学を経て、フランスに対する興味がますます強くなり、またぜひ留学したいと強く思っています。とても感謝しております。ありがとうございました。