フランスでの学びを生かして活動
東京藝術大学音楽学部、同大学院修士課程チェロ専攻修了。 2014年よりパリ7区エリック・サティ音楽院にてエマニュエル・バルサ(Emmanuel BALSSA)先生のバロック・チェロクラスとクリスティーヌ・プリュボー(Christine PLUBEAU)先生のヴィオラ・ダ・ガンバクラスに在籍。2017年帰国。現在、東京芸術大学大学院博士課程後期在籍中。 2019年5月1stソロCD発売予定。
帰国前から準備していた帰国後のこと
3年半のパリ留学を終えて日本へ完全帰国してから早1年半。パリ留学中に受験し、入学した東京藝術大学の大学院博士後期課程も、残すところあと1年で修了というところまできました。
友達と考察した日々が今の活動の糧
パリに住んでいる間に、音楽院の先生方に習ったこと、友達との室内楽の授業で試行錯誤をした色々な思いで、またヴェルサイユ王室礼拝堂など伝統のある素晴らしい会場の数々で演奏したバロックオペラやバレエ、オーケストラ、室内楽、ソロの経験、また日本では聴けない様々なコンサートやオペラを聴き、友達と考察した日々が今の活動の糧となっています。
ベートーヴェンが生きた時代の研究をしていて…
東京藝術大学の博士課程の論文執筆に向けては、フランス語で書かれた19世紀初頭の文献を紐解き、当時の音楽家達の情勢、趣味、傾向、保守的な考えと先進的な考えのせめぎ合いを読み、訳し、そこから考察されるベートーヴェンが生きた時代のパリ音楽院の人々の奏法を研究しています。それはただ文字を追うだけでなく、文献を元に実際に楽器を演奏したときに現代では考えられていないようなアイディアが生まれる研究で、パリ滞在時に習っていた先生方がされている演奏中の試行錯誤を日本でもより如実に伝えていけるためのベースになると思ってがんばっています。
帰国後の音楽活動
演奏活動としては、今年3月に帰国後2度目のソロ・リサイタル、またここまでの研究内容を発表し演奏するレクチャー・コンサートを控えていると共に、パリで学んだチェロとヴィオラ・ダ・ガンバ、2つの楽器を演奏した1stソロCDを、今年5月にリリースする予定です。
また最近は、パリで室内楽の授業でお世話になったチェンバロ奏者のElisabeth Joyé先生のコンサート活動での来日に合わせ、後輩たちのためにプライベート・マスタークラスを主宰し、通訳をする活動もしました。
帰国後に後悔していることとは?
日本に帰国してしまって一番歯がゆく思うのは、Bibliothèque nationale de France(フランス国立図書館)の所蔵する楽譜や文献をすぐに見たりコピーしに行けないこと。インターネットのBnF専用の検索サイト(Gallica)でPDF化されたものが見つかることもありますが、多くはパリにある図書館に行かなければ見られないものがまだ多くあり、自分の足で気兼ねなく行ける間にもっと通うべきだった、と思うことがあります。
しかし、フランスで学んだことを日本で大いに生かして活動していくことはとてもやりがいのあることなので、次にパリへ旅行で行ける日を夢見て、これからも毎日パリジャンらしい懐の深さを忘れず、精進していこうと思います。