留学体験談

世界中から集まったレベルの高い友達に囲まれ、毎日多くの刺激を受けています

井本 響太 様 Kyota IMOTO

東京音楽大学付属高等学校卒業後、同大学2年次にパリ国立高等音楽院入学。現在、オリヴィエ・シャッサン(Olivier CHASSAIN)先生のクラスに在籍。

母がジャズ・ピアニストで、父は音楽関係の仕事をしていることもあり、幼い頃から音楽に親しんでいました。5歳の時にギターを弾き始めて東京音楽大学に進み、ジャズやポップスの活動もしていましたが、まずはクラッシックの世界最高峰の音楽院で学んでみようと決心し、パリ国立高等音楽院を受験し合格しました。現在師事しているシャッサン先生は優しく、そしてレッスンでは大変厳しい先生です。世界的な演奏家で、曲の理論や解釈、指の運指をとても厳しく指導してくださいます。

音楽院では毎日朝9時半から授業があり、必修科目は音楽史と、初見、フランス語、アナリーゼです。選択科目では、リュートと「表現者のための心と体の準備」の授業をとっています。これは本番前の緊張をほぐすための授業で、体の使い方、具体的にはストレッチと、緊張しないための心身の整え方を学びます。

井本 響太様
室内楽は毎回違うメンバーとの編成で複数の先生に学んでいます。現在は、パガニーニ作曲のヴァイオリンとギターの曲や、ピアノとギターなどのデュオを学んでいます。リュートを学ぼうと思ったきっかけは、リュートのレパートリーをよくギターで演奏するので、その起源となる楽器を学んでみようと思ったからです。もともとはエジプト由来の楽器で、ルネサンス時代にヨーロッパに渡り、当時一番ポピュラーな楽器でした。その頃のレパートリーは大変多く、リュートまたはチェンバロで演奏されるパートと、テオルボ(大きなリュート楽器)またはバロックチェロの通奏低音楽器と演奏します。リュートソロのレパートリーも多いです。それぞれ13弦の楽器などがあり、演奏するのは難しいのですが、当時の楽器の音を感じながら演奏できるので、大変勉強になります。また昨年の年度末試験ではジョリヴェ作曲「ロベール・ド・ヴィゼーの墓」を演奏しました。ロベール・ド・ヴィゼーは王室楽団でルイ13世にギターを教えたとも言われているギタリストで、これは彼に捧げたオマージュ作品です。難解な曲ですが、壮大な表現ができる曲です。現在はベリオ作曲「セクエンツァ」を学んでいます。日本では演奏されることの少ない作品も多く学んでいて、これから日本でも紹介していきたいと思っています。

世界中から集まった一流の演奏技術を持つ友人たちが切磋琢磨している状況に毎日身を置いているため、毎日多くの刺激を受けています。管楽器の同級生の中には、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団に在籍している生徒もいます。フランスはギターがとても盛んです。これからパリで体験したことを生かし、新しいことにも挑戦し、演奏活動をしていきたいと思っています。ジャンルにとらわれず、ジャズ、ポップス、ゲームのサウンドクリエーターや演奏家としても活動を広げ、クラッシック音楽を親しみやすく楽しんでいただけるような活動もしていきたいです。