フランス留学体験談

フランス留学

フランス留学体験談>第21期奨学生

第21期奨学生の留学体験レポート

 

小谷純人様 カーンレポート1

 

image
image
image
image
image
image
image
image
image
image

 九月の半ば頃、一週間ほど晴れの日が続いた時がありました。学校の先生たちは、「なんて素晴らしい天気なの!みなさん、今日は授業が終わったら是非陽の光を浴びに出かけて下さいね!」と、皆一様に口を揃えて言います。私は「何を晴れたくらいでそんなに大騒ぎしているのか」と、首を傾げていたのですが、近頃は晴れると、無性に走り出したくなります。ノルマンディーに曇りが多いというのは、ただの噂ではありません。

 

<学校や町、滞在先の第一印象>
・カン
SNCFのカン駅を降り、なかなかに侘しい駅前でトラムに乗って、中心街へ。10分ほどで町の中心、サン・ピエール教会に着きます。この町は戦時中大きな被害を受けたため、それほど古い建物は残っていません。中心街といっても、リヨンやパリのように、背の高い建物が満員電車の中のように肩を合わせながら並んでいるのとは違い、小さくまとまってこぢんまりとしていながら、それほど混み混みしていません。いわゆる娯楽施設というのは少ないですが、とても落ち着いていて、勉強するにはもってこいの環境と言えます。

 

・学校
大きく開かれた大学の入り口には、フェニックス像があります。この像は戦時中、ドイツ軍の空爆で壊滅的なダメージを受けたこの町が、奇跡的に復活したことを象徴しているのだそうです。大学に入って一番始めに目を捉えるのは、何といっても広大な緑です。晴れた日には、芝生でゴロゴロしながらキスをし合う恋人たちの姿が見られます。のどかなような、落ち着かないような、この不思議な気持ち…うまく言葉にできないのは、私の語学力が足りないからなのでしょうか。外国語学科の校舎は割と新しく、清潔感があります。

 

・寮
去年リヨンに留学していたときに住んでいた寮は、トイレとシャワーが共同で、少し不便な思いをしました。今回の部屋にはトイレとシャワーがあって、大きな窓が二つ、随分と快適です。インターネットは有線で利用できますが、寮内にWi-Fiはないので、ケーブルを用意する必要があります。私は現地の電気屋で調達しました。料理には、共同のキッチンを利用します。部屋のご近所さんとは顔見知りになり、一緒に晩ご飯を食べたり、飲みに出かけたりしています。

 

<クラスについて>
・クラス分けのテスト
入学前に、リスニング、文章理解、記述問題などを含むテストを、インターネットで受けます。このテストによって大まかなレベルが決まります。その上で、こちらにきてもう一度記述のみのテストを受け、正確なクラスが決まります。クラスはB1の中でも、例えばB10、B11、B12という風に細かくレベルが分かれていて、数字が大きくなるほどレベルが高くなる仕組みになっているようです。また、授業が始まって最初の一週間は、希望を言えばクラスを変えてもらえます。私もクラスの変更をお願いしたところ、数日後にもう一度記述の試験を受けさせられ、無事にクラスを変えてもらえました。現在はB1+で勉強しています。

 

・クラス
現在のクラスは16人構成。国籍は多い順に、アメリカ5人、中国3人、韓国3人、スペイン1人、ペルー1人、スリランカ1人、サウジアラビア1人、日本1人です。年齢は40代が1人、30代が1人、20代校半が3人、残りが20歳前後の大学生といった感じです。また、クラスには男性が2人しかいません。「こんな比率なら、モテモテのフランス生活になるぞ!」という当初の確信も虚しく、恋心を抱いてくれているクラスメイトは1人もいないよう。実に残念です。クラスは、和気藹藹としています。「今日の宿題やった?」「やってない」「私もまだ」「私も」「誰もやってないじゃん!」「あははは」と笑いが起こりますが、笑っている場合ではありません。

 

・授業について
授業は1コマ90分で週12コマあります。去年リヨンで留学した時には、リヨン・ブルーとリヨン・カトリックという二つの語学学校に通ったのですが、リヨン・ブルーは会話中心の和やかな雰囲気、リヨン・カトリックは講義形式できっちりとした雰囲気でした。カン大学はテーマや先生に応じて、会話を中心とした和やかな雰囲気の授業と、講義形式のしっかりとやる授業が半々くらいあり、極めてバランス良く構成されています。
フランスの学校にはコントロール・コンティニューというシステムがあって、小テストと中間テストの間くらいの重さのテストが、各授業一学期につき2、3回程度あります。これと期末テストの点数で成績がつき、DEUFという形式のディプロムが授与されると共に、次学期のクラス分けに反映されるそうです。

 

<思えば遠くに来たものだ:なぜ20点満点?>
このコーナーは、誰に頼まれたでもなく、私が勝手に「フランス人って変だよなぁ」と感じたことを書いていくものです。記念すべき初回は、テストが20点満点であることについて。フランスでは様々なテストが20点満点で行われ、かの有名なバカロレアも20点満点だそうです。10点以上が合格、14点以上が優、16点以上が秀、18点以上は滅多に付けないとのことです。「まぁ、そういうものなのだな」と受け入れるしかないと思ったのも束の間。いざテストが返ってきてみると、点数が0.5点刻みで付いています。それはちょっと違うのでは!?それなら最初から、満点をもっと大きな点数に設定すればいいのではないでしょうか。そのうち0.25点刻みのテストが返ってくるのではないかと思うと、心配でなりません。思えば遠くに来たものだ。