申熙晶様 リヨン留学
はじめに
私は今回、日仏文化協会の奨学生として、リヨンにて2週間の短期フランス語留学を行いました。私は現在、社会人で、留学をするために会社の夏季休暇と有給休暇を取得せざるを得ず、2週間という短い期間にはなりましたが、色々と充実した短期留学を送ることが出来ました。今回のレポートでは社会人で短期留学を考えていらっしゃる方をはじめ、初めてフランスで留学される方などにお役に立てる情報をお送りできればと思っております。
「リヨン」という町、学校について
私が以下の二つの理由から、留学先としてリヨンを選びました。
①パリは既に旅行で訪れたことがあり、フランスのほかの町を見てみたかったため。
②リヨンはフランスの大都市の一つであり、方言が少ないといわれているため。
結果的にリヨンを留学先として選んだことは、間違いではなかったと思います。リヨンはパリに比べると観光客も少なく、治安も比較的に安定しており、安心して生活を送ることが出来ました。また、家族単位のフランス人もたくさん居住しているため、少しながらフランス人の「生」の生活を覗いてみることも出来たと思います。
そして授業を受けた学校ですが、私は「リヨンブルー Lyon Bleu International」という学校を選びました。この学校は、建物の1フロアのみを使用している、割と小規模の学校です。学校の中ではWifiや無料のパソコンが使用でき、学生用のウォーターサーバーや自販機も設置されています。また近くにはパン屋さんやスーパーもあり、施設面で困ることはあまりありませんでした。
リヨンブルーでの授業は「午前クラス」と「午後クラス」に分かれます。まず、留学前にネットを通じて行われる文法テスト及び登校初日に行われる口頭試験でレベルが決まり、クラス別の人数や教室の状況により、自分のクラスが決定します。私の場合は、A2レベルの午後クラスでしたが、もしクラスの時間帯やレベルについて希望があれば留学前か口頭試験の際に自分の希望を伝えたほうがいいと思います。私の場合は、後から「午前クラスに変更したい」、「もっと上のクラスに変更したい」と希望を伝えましたが、教室やクラスの人数の都合上、変更は難しく、学校によると、事前に希望を伝えてもらえたら反映できるとのことでした。もし何か要望がある方はぜひ事前に学校や日仏文化協会と相談したほうがいいでしょう。
授業の中身ですが、私が所属していたクラスは合計12名おり、そのうち5名が日本人でした。他は韓国人やドイツ人が多く、イギリス人やスウェーデン人も在籍していました。授業はもちろん、全てフランス語で行われれ、毎回、先生が用意したプリント教材を中心に授業が進められました。文法は既に日本で習っていたものが多かったですが、発音矯正や語彙学習、フランスやリヨンの文化に関する授業はとても有意義でした。
またこの学校では、毎日、リヨン市内散策や映画鑑賞会といった、放課後プログラムも設けられています。プログラムによっては参加費有料のものもありますが、無料のプログラムがほとんどとなっているため、気軽に参加できる上、他の学生とフランス語で話すチャンスにもなるので、フランス語の会話練習にも役に立つと思います。
ホームステイでの生活について
私は留学の間の2週間、徹底的にフランス語に囲まれたかったため、ホームステイでの滞在を選びました。そして実際にも、ホームステイをしたことによって、短い留学期間ながらフランス語も多少伸びたと思われます。私は朝食と夕食をホームステイの家庭で食べるプランでしたが、夕食の際には必ず何かしら自分のことを話さないといけないですし、分からない単語や表現はホストファミリーに聞いてみたり、自分で調べたりするなど、フランス語の勉強にだいぶ役に立ちました。
私のホストファミリーは5人家族でご夫婦と、私と同じ年代の3人のお子さんがいらっしゃい、そのうち1名が同居していました。この家族は過去にも何回か留学生を受け入れたことがあり、ホームステイに慣れていたため、ホームステイ中はとても気楽に生活を送ることができました。部屋は3~4畳のシングルルームを使わせていただき、浴室はお子さんと共同で使いました。朝食は毎回、食べる時間帯を聞いてくださり、それに合わせてマダムが朝食を準備してくださいました。夕食は家族みんなで毎晩8時に集まってマンションのテラスで夜空を眺めながら食事をしました。
そして日曜日には、リヨンの旧市街にあるフルヴィエール大聖堂でのミサに連れて行ってくださいました。私はカトリック教徒であるわけではないですが、フランス人の宗教生活を勉強する意味でもミサの経験は興味深いものでした。
ホームステイ最初の日は、いきなりのフランス語ばかりの環境で戸惑うこともありましたが、自分からフランス語で話しかけたり、話題を提案したりすることで、2週間の短い期間ながらホストファミリーともずいぶん仲良くなることができました。特にマダムは、私の帰国後にもメールでフランス語を矯正してくれると言って下さり、これからも今回のご縁を大切にして連絡を取り合っていきたいと思います。
やって良かったこと
①フランス語で毎日日記をつけてみること。
私は留学期間中、その日あったこと、考えたこと、新しく習ったことなどをフランス語で綴っていました。もちろん文法は間違えているかも知れませんが、ネットや辞書などで表現、語彙を調べながらホストファミリーとの会話でうまく話せなかったことや自分が伝えたいことをどのようにフランス語で表現するのか、頭の中で整理することができました。また、日記をつけるときに覚えた表現や語彙を、翌日、ホストファミリーや学校の先生、友達に使ってみることでフランス語の会話のバリエーションを広げることに繋がりました。
②自分の日常に関わる写真を持っていったこと。
ホストファミリーや学校の友達と話に詰まったとき、日本での生活の写真を見せながら新しく話を切り出すと、会話のネタにもなり、彼らも喜んで聞いてくれます。もちろんスマートフォンでの持ち込みでも構いません。私の場合は、家族の写真、大学の卒業式の写真、日本国内旅行の写真を見せたときが反応がよく、相手も高い興味を示してくれました。特にフランス人は日本の伝統的な服装や場所、文化に興味があるのでそれに関する写真や話を用意していくといいと思います。
フランス・リヨンでの2週間の研修は、とても短い期間ではありましたが、多少ながらフランス語での会話、聞き取りに慣れる機会になりました。また、フランス人、日本人だけでなく、世界各国でフランス語を習っている友達が出来たことも、今回の研修の大きな収穫の一つでした。もし「短期だったら留学に行ってもあまりフランス語が伸びなさそう」や「友達が出来るか不安」と不安に思われる方がいらっしゃるのでしたら、ぜひ悩まずに短期でも留学されることをお勧めしたいと思います。もちろんフランス語の上達だけを考えると、長期留学のほうがいいかもしれませんが、朝から晩までの生活をフランス語に囲まれ、ホストファミリーや学校の友達とフランス語で会話を交わした2週間は、同じ期間日本での勉強するのよりも何倍も効果的でした。また学校に通っている外国人の学生たちもオープンな方が多いですから、自分から怖がらずに話しかけたりすると、すぐ友達になることが出来ます。
最後に、今回の留学に多方面からサポートしていただいた日仏文化協会の皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。