新井洋子様 トゥール留学

そうだ!…今だ、今行かなくて、いつ行くの?!

退職して7年、フランス語、書道、卓球、演劇等に時間を費やしてきた。特にフランス語には思い入れがあり、その成果を試すため、いつかフランスに留学したいと思っていた。だけど、すぐに行けない様々な理由があった。時間と共にすべてが老化・劣化してしまう。記憶力、体力、気力までもが・・・。しかし、今年ついにそのチャンスがやってきた!

書道の講習会

その留学先として私が選んだのはパリからTGVで90分のトゥールである。歴代の王が住み、正統派のフランス語を話すと言われていることも決め手となった。ところが、フランス国鉄のストライキのせいで急きょ往路に1泊、復路に2泊、パリに宿泊することになってしまった。ホテルやTGVの手配が必要となり、不安になったが、「今行かなくて、いつ行くの?!」という強い気持ちで対応した。

トゥールラングは1クラス最大8人という少人数制の学校である。私のクラスは5人で、日本人は私1人だった。授業は文法中心だが、プリントを見ながら自分が感じたことを話し、それについて先生が補足をしたり、それぞれの国のことを話すことによって、会話が豊かになった。また、渡仏前に学校の方から書道の講習をやってほしいという依頼があったので書道用具一式も持参し、楽しみにしていた。なのに、校長がすっかり忘れていたので、直談判してお願いしたところ、実現することができた。もし、あのとき諦めて講習会を開けなかったら、平凡な留学だったかもしれない。

古城めぐりの同乗者と

また、エクスカーションで金曜の放課後にシュノンソー城へ案内してくれた。希望者7人だったため車内での会話も楽しめた。これに味をしめ、翌日にはトゥール駅近くのインフォメーションでロワール古城巡りを申し込んだ。4つの古城を周遊し、ドライバーさんや同行のご夫婦とも話ができた。ドライバーさんが群馬のゆるキャラ“ぐんまちゃん”のボールペンを持っていたのには嬉しくなった。

ホストファミリーのカトリーヌはみどりの瞳のエレガントな女性で、同世代ということもあり、すぐ打ち解けた。辞書で意味を確認しながら話したり、日本地図を広げて私の住んでいる県を示し、「夏の思い出」を歌ったこともいい文化交流だったと思う。洗濯も食事もいろいろ気を遣ってくれた。休日には日本から持参したソーメンやラーメンを作って一緒に食べた。残さず食べていたので気に入ったようだった。ホームスティ最後の日にはカトリーヌが車でTGVの駅まで送ってくれ、ビズをしたら感無量になってしまった。

シュノンソー城で

トラブルというほどではないが、帰国前に日本に荷物(コリシモ)を送ろうと立ち寄った郵便局で、なかなか会話が通じない。送り状には記載どおりに住所を書いたのにどうしても荷物を受理してもらえない。しばらくフランス語&英語のやりとりの末、原因が分かった。送り主と受取人が同じ名前だったので、これでは再びフランスに戻されるということなのだ。日本にいる夫の名前にすればよったのですね。

フランスにいる間、授業中はもちろん、街やステイ先でも常にフランス語の文を考えていた。挨拶や買い物はなんとかできるようになったと思うが、トラブルに遭った時などにはまだまだ未熟だと痛感した。これから留学される方へのアドバイスとしては、文法をマスターする、フランス語以外で自己PRできる何かを見つける、街や人を見てフランスを積極的に感じるということでしょうか。67歳の主婦でも語学留学ができるということを、皆さんにも知っていただけたら幸いです。