大統領選へのフランス人の熱意
私は運よく、フランス大統領選の時期にフランスにいることができました。そのころの話題といったら授業でもバーでも道でもみんな大統領選についての話題ばかり。日本だと選挙にあまり興味のない私でもフランスにいるとフランスの大統領選挙について考えさせられ、だれがいいのかをあらゆる新聞、雑誌を買って研究しました。
選挙戦の主要争点は雇用、経済、移民政策についてでした。サルコジ氏はアメリカのような自由主義経済を志向し、減税や国家による社会保障の軽減、経済改革を重視する人々に支持されました。
一方ロワイヤル氏は社会保障と労働者の保護を掲げました。がしかし、フランス経済が国際競争力を失いつつあり、財政健全化が迫られる中、なお財政負担を強いる社会保障と労働の保護はサルコジ氏の政策より支持が低かったようです。
私の語学学校の先生たちは、サルコジになったら、移民政策によってフランスに来れる学生が少なくなる。またサルコジのやることは派手だから危険すぎる。サルコジは第二のヒトラーだ。などといってロワイヤル派でした。しかし結局、サルコジ氏が勝ってしまいかなり落胆した様子でした。
逆に、もしロワイヤルになるならフランスを出て行く。というフランス人の友達もいました。ロワイヤルになると、働ける時間が少なくてお金が稼げない!と。なんだか政治のことなんてさっぱり考えていなさそうな若者も大統領選の話になると熱く語ってしまうから驚きでした。そして、若者の意欲のある人ほど、フランスじゃ稼げないと思って海外に出ようとしてたのだと知りました。
「将来は日本で働きたい!だって日本はより働けばそれはすごいことなんでしょ?フランスじゃ評価されないんだよ。それでお金もいっぱい稼げるなんてすばらしいよ!」といってくるフランス人友達がたくさんいました。働きすぎな日本人というのをうらやまれることもあるのだなー。と思いました。
サルコジ当選日、私はparisにいました。今日は外に出るなとステイ先の人に言われた友人もいたようです。その状況からもわかるようにその日のTGVのチケットは異様に安かったです。その日は道を歩けばみんな政治の話。c’est pas normal(普通じゃない)と政治を語る声がたくさん聞こえました。またその日の夜はクラブなどがタダで開放され、暴れ放題だったとか。フランス人にとって大統領選がどれだけ大事なのかがよくわかりました。国民の直接投票で大統領を決めるということは、生活にも大きく関わるので真剣に考えざるを得なくなる。そのことによってみんなが国のことを真剣に考える。とてもすばらしいな。と思いました