クラスメイトを紹介して下さい。具体的な人数、国籍、年齢、クラスの雰囲気、授業の進め方等
アメリカ人5人、アルジェリア人1人、ギリシャ人1人、シリア人1人、中国人3人、ブラジル人1人、ベトナム人3人、ボリビア人1人、モロッコ人1人、わたしも入れて計19人のクラスです。先生が「今年は多いね!」と驚いた様子だったので、例年はもうちょっと少ないようです。コース別になると、わたしが選択している「言語と文学コース」は7人で、ぐっと少人数になります。
年代は様々です。交換留学生のように、自国の大学に通っているという人は4人と少なめで、フランスの大学の進学を目指しているという人がほとんどです。高校卒業したての10代もいますし、すでに大学を卒業した20代もいます。そのほか、フランス人と結婚して引っ越してきた人、フランスで仕事を探している人、祖国の問題で、家族でフランスにやってきた人もいます。この人たちは30代です。
前期もそうでしたが、みな発言も質問も積極的です。遅刻する人はいますが、漫然と授業を受けている人はひとりもいません。フランス語だけでなく、フランスのニュース、世界のニュースにも関心が高いです。クラスメイトとフランスの話もしますし、クラスメイトから「今日のラジオで日本のこんなニュースを聞いたけど、本当?」と話しかけられることもあります。
クラスの担任を具体的に紹介してください。
今期の担任は、Laurentという男性の先生です。親切なひとで、面談もひとり30分かけてくれます。面談では、フランス語学習における自分の弱点を指摘してくれ、対策に最適な問題集を紹介してくれました。それだけで終わらず、問題をやり終えたら見せにおいでと言ってくれ、「理解したね!」と言ってもらえるまで付き合ってもらいました。勉強の話だけでなく、今なにに興味があるか、将来はどうするのかということも聞いてくれます。
前期の担任もそうでしたが、しめるところはちゃんとしめるところが、わたしは好きです。先生の中には、遅刻や提出物にゆるいひともいますし、先生自身が多少遅刻してくるひともいます。Laurent先生は、たとえ朝一番の授業だろうと、どの生徒よりも先に教室に着いて、音楽を流しておいてくれます。
それからひとつ、印象深いエピソードを紹介します。ストライキがあったときのことです。彼の授業中、教室に「授業をやめて一緒に外に出よう!」という一団が流れ込んできました。先生は「君たちの意見(非常勤講師の待遇向上)にはもちろん賛成だが、彼ら(私たち生徒)は外国人なんだ。理解してくれ」と言い、授業を続行してくれました。彼にもストライキに賛同する強い気持ちは、絶対にあったと思います。しかしそれでも、我々の学習意欲を慮ってくれたことに、感謝しています。
授業の進め方はどうですか?
新学期の当初に、「前期みたいに教科書をあまり使わないのなら、買いたくない」という声がクラスメイトからあがり、今期は教科書を使う頻度が少々増えました。ちなみに、わたしは前期C1クラスにいたひとから教科書を安く譲ってもらいました。2期滞在する方は、こんな方法で教科書を手に入れるのもおすすめです。
そうは言いつつも、やはり先生方が用意したプリントを利用することが多いです。 テキストに沿って、生徒主体で進めるグループワークも多いです。例えば、文学の授業であれば、テーマのテキストをそれぞれで読んだ後に、グループで話し合って問題を解き、みんなの前で発表という流れがよくあります。その間、先生はあまり口を出しません。
より中長期的にグループワークをする場合もあります。グループ発表の日程とテーマだけ先生から伝達されます。あとはもう、グループ内で話し合いです。SNSでグループを作り、連絡を取り合って、授業以外でも課題を進めていきます。前期と比べて、少し自由度が高くなったように感じました。
宿題は出ますか?
前期と同じく、宿題はよく出ます。テキストを読解して、文章を書いてくるという内容が多いです。例を挙げれば、「アポリネールの詩を読んで、議論しなさい」「30年前と現在の教育を比較し、問題点を挙げなさい」等です。こんなこと突然言われてもギョッとしますが、授業に則した課題が与えられていますので、そこまで難しいものではありません。時間はかかりますが…。
具体的な授業内容を 2 つ選んで教えて下さい。
・Itinéraire interculturel(異文化理解)
前のレポートでもこの授業を紹介しましたが、前期と内容が全く異なるので、紹介させてください。週に2コマ計3時間の、必修の授業です。
前期のテーマは言語で、先生によるフランス語の解説と、生徒による自分の母語に関するプレゼンテーションが主でした。が、今回は異文化に係るアンケート調査の実施がメインです。好きなテーマで3~4人のグループを作り、アンケートを作成します。アンケート用紙を配布して、得られた結果を分析して発表するまでが、今学期の流れです。わたしは、アメリカ人と中国人2人と一緒に、健康について調査するグループを作りました。中国人のクラスメイトたっての希望で、その当時(今や全世界に広がりましたが)中国を中心に感染が拡大していたコロナウィルスをテーマに設定しました。ウィルスに対する知識度、ウィルスへの対策、日常への影響について、文化によって回答がどう異なるか分析するのが、調査の目的です。アンケート用紙がかたちになってきたところで、他のグループとアンケート用紙を交換してみました。自分たちとしては、すばらしいアンケートを作成したつもりでも、ほかの人がやってみると、わかりにくい質問になっていたり、質問数が多かったり、見えていない問題点が分かってきたことが興味深かったです。他のグループは、「美」「外国語学習」「宗教」をテーマに調査しています。
・Débats contemporains(現代議論)
コースの授業です。現代の問題について、先生が解説してくれ、そののち自分たちで議論をします。教育、新しいメディア、詭弁についてなど、取り扱うテーマは多岐にわたります。詭弁の話に入る前に、フランスの政治体制についても詳しく解説してもらいました。あまり興味の持てないテーマでしたが、1から説明してもらうと面白いものでした。ニュースを見て、わからなかった法制度についても質問できました。
この授業を担当しているRomain先生、夏学期・秋学期でもお世話になりましたが、非常に熱心な先生です。わからないことは徹底的に解決してくれます。どんなにしつこく聞いても、絶対に呆れない・諦めないひとです。歴史や言語、政治となんでもよくご存知ですし、文法についても、生徒がつまずきやすいところに瞬時に反応し、その場でしっかり説明を入れてくれます。お話が止まらない時もありますが、とあるクラスメイトは「こんなにいい先生は、ほかにいない。彼のような先生になりたい」と言い、歴史の先生になることを決めたほどです。でも、これは大げさではありません。カーンで勉強しようかなと思っている方、Romain先生がわたしの「推し」です。
学校のイベントやエクスカーションに参加されましたか?
イベントとは違いますが、大学のスポーツクラスに参加していました。球技に水泳、ダンス、格闘技までいろんなスポーツがあり、年間30€で2つのクラスが履修できます。わたしは、フィットネスダンスというのに通っており、週に1回1時間程度ですが、いい運動になります。100人弱、受講者がいるので全く恥ずかしくないです。ヨガやピラティスを中心にどのクラスも大人気なので、早めの登録をおすすめします。 外国語学科の授業の合間にスポーツクラスを入れている子もいて、水泳後、濡れた髪のまま授業を受けるクラスメイトもいました。
フランス人学生と交流を持つ事はありますか?
クラスメイトは外国人のみですので、フランス人学生との交流はあまり多くありません。ですが、チャンスは十分にあります。 例えば、月に一度くらいの頻度で、キャンパス内のカフェテリアにて「カフェ・ポリグロット」というイベントが開催されています。フランス語のみならず、英語、スペイン語、イタリア語など、複数の言語を喋る機会を得られます。テーブルごとに、言語が分けられており、好きに移動できるのです。フランス人ももちろん来ています。
イベントはこれだけではなく、ボードゲーム、ビデオゲーム、映画鑑賞、料理、ときには編み物まで、いろいろなイベントが毎週たくさん開催されています。 また、前述したスポーツクラスは、参加しているひとの大半はフランス人です。団体競技に参加して、フランス人とフランス語でスポーツをするのもいいのではないでしょうか。
スポーツや、文化活動等、学校以外に参加した事はありますか?
秋学期のはじめのオリエンテーションの際に、ホストファミリー制度に登録しました。わたしのように寮に住んでいる学生にも、ホストファミリーを紹介してくれ、フランス人家族と交流が持てるのです。
わたしが紹介してもらったご家族は、ご夫婦と10代の子どもが三人いるご家庭です。フランス人のお宅を初めて拝見し、フランスらしいおもてなしを受けて、そのひとつひとつに感動しました。テラスでのアペリティフから始まり、部屋に入ってメイン、チーズにデザートもいただき、みんなでタルトタタンを作って、焼き上がりまでお散歩し、帰ってきてノルマンディ産のクリームを載せてタルトタタンをいただき…お腹ぱんぱんでした。思わず、「フランス人はよく食べるね…」と言ってしまいました。ホストファミリーはケロッとしていました。
ある時は、車でイギリス海峡まで連れて行ってもらいました。寒かったですが、海のそばで食べた牡蠣はとてもおいしかったです。 自力で行けるところではなかったので、貴重な体験になりました。このような楽しいお出かけに、いつも誘ってくれます。一家でアジアに赴任していた経験もあり、子どもたちはみんなマンガ好きで、日本にもぜひ遊びに来てほしいです。