2期奨学生(2006年)

丹様のリヨン留学8

Merci Marie !

今日は12月25日。とても静かなノエルを迎えました。フランスではノエルを家族で過ごすのが通常で、今日はこのどんよりとした冷たい冬空の下を出歩く人は少なく、きっと暖かな室内でビュッシュ・ドゥ・ノエルなどを囲みながらの楽しい家族とのひと時に、外気の冷たさなどすっかり忘れているのでしょう。私はスチュディオで気ままな一人暮らしを楽しんでいるので、残念ながらノエルの家庭の雰囲気を味わうことができませんでしたが、今日はミサの後の静かな教会で一人、今年一年を振り返ってみようかと、プラっとフルビエールのバジリカ聖堂に赴きました。教会にはポツリポツリと人が訪れ、蝋燭に火をともしながら、その小さな炎の中にささやかな願いを込めて、静かに去っていきます。教会の中にはクレッシュと呼ばれる、キリスト誕生の場面を再現したかわいらしい人形も飾られ、誰もが足を止めて、その一場面に思いを寄せているようでした。この時期になると、リヨンでもペラーシュ駅の近くやクロアルースなどでクリスマス市が開かれ、かわいらしいサントン人形がたくさん売られています。これもクレッシュ同様、キリスト誕生の場面を小さな箱の中に自分なりに再現し、それを家の中に飾って楽しむものです。

テットドール公園の秋

リヨンの北に位置するテットドール公園は、1856年に整備された117ヘクタールの広大な美しい公園です。公園の敷地内には動物園や植物園などもあり市民の憩いの場所でもあります。11月のテットドール公園は紅葉が美しく、落ち葉の絨毯を踏みしめながら歩くとそれはまさに、ジャック・プレベールの詩で有名なシャンソン‘Les feuilles mortes(枯葉)’の世界です。

その詩の中に‘Les feuilles mortes se ramassent a la pelle(枯葉はシャベルで寄せ集められる)’というフレーズがありますが、現実問題、リヨンの町の枯葉をシャベルなんぞでかき集めていても間に合いません。プラタナスやマロニエの落ち葉の量といったらそれはそれは大変なものです。枯葉清掃部隊のおじさんたちは毎日大忙し。写真のように掃除機のような機械を使って道に積もった枯葉を一気に吹き飛ばし、一ヶ所に集めてから回収するのです。

フルビエール教会

このノートルダム・ド・フルビエール教会はそもそも聖母マリアにささげられた教会で、旧聖堂の鐘楼に聳える金箔のマリア像はリヨンの象徴でもあります。毎年12月8日に行われるリヨン最大のイベントFete des lumieres は、1852年の12月8日にこの金のマリア像が据えられたことを記念し、加えて1643年にリヨンを襲った恐ろしいペストから町を救済したといわれる聖母マリアを、命の恩人として称える日でもあるのです。今年は12月7日から10日までの4日間、この光の祭典が行われました。残念ながらメインの12月8日は土砂降りの雨に見舞われ、各家庭がともす蝋燭の炎も雨で消えてしまったのか、幻想的な光景に出会うことができませんでした。しかし、町のいたるところで繰り広げられる光のスペクタクルは目を見張るほどの美しさで、豆電球で覆われたサンジャン教会の前には、たくさんの人々が集まり、ヴァン・ショを片手にその壮大なスケールに皆満足げな様子でした。

Fete des lumieres

ミサのあとの静かな聖堂を一周した私は、ノエルの日のリヨンの町を眺めてみよう思い外に出ました。フルビエールの丘からリヨンを眺めるのはこれで何度目になるだろうかと、記憶の中の景色をたどりながら、冷たい大気に白く煙るリヨンの町をしばらくの間眺めていました。2月に初めてこの地を踏みしめたときから、もうすぐ一年。「一年って早いなぁ。まったく、イヤになっちゃう。日本に帰ったらまた仕事か~。フランスのペースになれてしまったけれど、無事社会復帰できるのかなぁ~。でも、まぁいっか~、一年間とても楽しかったから!マリア様、楽しい一年を本当にありがとう!」と、つまらぬことをおもいつつ、最近覚えたラ・ヴィ・アン・ローズを口ずさみながら家路へと向かうのでありました。

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