1期奨学生(2005-2006年)

井関くみこ様へのアンケート

リヨンには当協会駐在員もお手伝いしている日本人会がありますが、リヨンの日本人留学生にとって何か役に立っている、情報源になっている、あるいはフランス人との出会いの場になっているのでしょうか?
毎週火曜日の午後3時から6時まで「出会いの時間」というのがあり、日本に興味を持っているフランス人学生(他の国籍の方も時々やってきます)や日本人がやって来ます。ここでフランス人と話すことが出来ますし、情報を集めることが出来ます。また日本人の知り合いもできます。ただ、日本人女性を目当てで来る人もいるようなので気を付けたほうが良いということも聞きました。「PETIT ANNONCE」もあり、いろんな情報を得ることができます。
またリヨンには在リヨン領事事務所というのがあって、ここでもいろんな情報を集めることが出来ます。私が行った時はフランス人が2人、日本を旅行するための情報集めで来ていて資料をもらったり、事務員の人にいろんなことを尋ねていました。丁寧に教えてくれるので、どんどん利用すればいいと思います。また、「在留届」もこちらに提出します。「在留届」はフランスに3ヶ月以上滞在する人は提出する義務があります。敷居が高そうなのであまり留学生には知られていないようです。

井関さんは華道、茶道、書道と日本の伝統文化で特技をお持ちですが、それらをフランス人に披露する機会はあったでしょうか?
茶せんと抹茶を持って来ているので、クラスメートやフランス人の友達にお茶を点てたり、点て方を教えたりしました。正式な形ではなくお椀に抹茶を入れて、説明しながらお茶を点てるという簡単なものです。必然的に茶道の文化について話さないといけなくなるので専門用語などはフランス語ではどういうのかなど前もって調べておけばよかったと思いました。抹茶を初めて飲む人がばかりなので、こわごわ飲む姿が印象的でした。
また、日本人センターでボランティアで習字教室の講師をしています。生徒さんはフランス人3人で、私の怪しげなフランス語もちゃんと聴きとってくれます。それにフランス語の間違いも直してくれます。学校の先生はゆっくりと分かりやすく話してくれますが、ここでは生徒さんは普通の速さで口語表現もたくさん入ったフランス語をしゃべるので難しいですが聴き取りのいい勉強になります。かといって、学校の聴き取りテストで良い点がとれるわけではないので、上達は難しいなあと感じています。

リヨンカトには大学主催のアクティビティーに語学留学生も参加できるとのことのようですが、日本で言うサークル活動でしょうか?井関さん、あるいは周りの方で参加されたことはありますか?
リヨンカトリック大学主催のはなく、語学学校主催です。だからフランス人大学生とも接点がないので友達になる機会はありませんでした。アビニオン日帰り旅行、映画上映会、文化紹介祭などがあります。

同じキャンパスで勉強し、大学施設も使っているということ以外で、フランス人と仲良くなれるチャンスはあるのでしょうか?
受身でいるとないと思います。大学内では多くのフランス人学生がいますがまず知り合うことがありません。クラスメートではエシャンジェ(交換授業)をしている人も時々いて、良い勉強になるようです。エシャンジェの相手は誰かの紹介と言っていましたので、大学内で知り合ったわけではありません。
街でも特にフランス人が話しかけてくるわけではないので、留学生でも何か習い事をするとか、ベビーシッターなどちょっとした仕事をしている人は知り合う機会があるのだと思います。

学内、学外に限らず、またフランス人をはじめ、外国人や日本人との出会いやフランス語を話す機会はどうでしょうか?心に残る出会いがあれば、ぜひ井関さんの生き生きした文体でエピソードをお聞かせください。
ある日、学校の帰り、バゲットを買ってレジデンスに戻って来たらちょうど一人のフランス人も中に入るところで、ドアを開けて待っていてくれたので私が「Merci」と言ったら、「どういたしまして」と日本語が返ってきました。日本が好きで趣味で日本語を勉強しているそうです。それで少し立ち話をしていましたが、2人共おなかが空いていたので私の部屋でお昼を一緒に食べることになりました。パスタとポテトサラダを作ってくれて、私はクルジェットを炒め、バゲットを切ってチーズを用意しました。スーパーで買ったとっても安いワインもあったのでそれも出して、ではいただきます!と食べ始めようと思ったら、なんと「じゃあどれから食べましょうか?」と言うではないですか?ああ、こういう時でも順番に一皿ずつ食べるのかとしみじみとフランスの食文化を実感しました。バゲットにバターとジャムを塗って食べるのが好きだから食卓に出したら、「バゲットにバターとジャムを塗るのは朝だけで、昼食夕食はそのまま食べる。」とのこと。美味しいのになあと思いつつも仕方なくバターとジャムは冷蔵庫へ。
クルジェット(熱いうちにということで)、ポテトサラダとパスタ(これは同時でいいみたい)、チーズ、チョコレートと進み、最後に抹茶を出しました。その間、どうして日本が好きなのか、私がなぜフランス語を勉強しているのか、お互いの国の食文化、フランスの次期大統領選挙などなど話題が尽きず、フランス語日本語交じりのとても楽しいDejeunerでした。
しばらくして違う町に引越して行きましたが、今でも連絡を取り合ういいお友達です。

同じ大都市ということで、リヨンとパリがよく比較されたりしますが、リヨンにあってパリにないもの、逆にパリにあってリヨンにないものをイメージや直感でいいので教えてください。
リヨンの街はパリほど大きくもなくほかの町より小さくもなく住むにはちょうどいい大きさだと思いました。スーパーマーケットやマルシェはたくさんあり、物価もまあまあです。プランタンとギャラリーラファイエットもあります。でもパリに比べると規模が小さいです。値段設定が(もしかしたら)リヨンのほうが高い物があるようです。服、靴、アクセサリーなどのファッション関係のお店もパリほど多くはありません。ソルド(バーゲン)時の割引率もパリのほうがいいと思います。

他の都市とリヨンを比べて、リヨンらしさ、リヨン自慢をお聞かせください。
リヨンの交通機関は充実していています。メトロ、バス、トラム、貸し自転車が街中を網羅しているので便利です。パリだと、メトロの乗り換えが結構遠かったりすることもありますが、リヨンはとても楽です。それにメトロが浅いので階段も短いし、ほとんどの駅にはエレベーターが設置されているので、荷物が多い時でもすんなりメトロに乗れます。

留学終盤にさしかかって振り返り、リヨンにして良かったと思いますか?
良い友達に恵まれたことが一番大きいです。

小旅行など特別な過ごし方ではなく、普段の週末の過ごし方を教えてください。(リヨンの娯楽事情は?)
勉強、宿題、部屋の掃除をします。また友達のところに遊びに行ったり来たりします。日曜日はお店が閉まるので土曜日にマルシェやスーパーに買い物に行きます。スーパーのはしごなどしたら半日はそれで終わってしまいます。
近くに大きなテッドドール公園があるので、そこを散歩したり友達とバトミントンをしたりします。リヨンの人もここで、ランニング、散歩、読書、ピクニック、サッカーなどしてのんびり過ごしています。定期券があるので、これでパスなどを乗り継いでリヨン市内観光をしたりします。行き先を決めずにやって来たパスに乗って適当に降りる気ままな観光です。リヨン市内でも全然知らないところがあるで面白いです。また私はあまり行きませんが、映画館も多いので映画を見に行く人も多そうです。

フランスのステュディオ暮らしを経験されたわけですが、実際住んでみて、いい意味でも悪い意味でも、思い描いていたのとは違った点はありましたか?不便だと思ったことは何かありましたか?
テレビや雑誌でよく見るような部屋を想像していたのですが、実際到着してみたら近代建築だったのはちょっと残念でした。
部屋はきれいです。キッチン、洗面台、お風呂、トイレすべて付いているので不便さは全くありません。きれいなので気持ちよく住むことができます。水回りや暖房器具等で特に大きなトラブルがないのも良い点だと思います。家具も揃っています。
住み始めて1週間くらいで洗面台の水が流れなくなったので掃除してみると大量の髪の毛などが詰まっていました。運悪い時期に入居してしまいました。水漏れなどは自分の責任になって修理代を払わないといけないので、到着してすぐにすべてチェックするのが大切だと思いました。近くにはスーパーや地下鉄の駅もあってTETE D’OR公園やPARTDIEU駅まで歩いて行けるので立地条件はとてもいいし、夜は静かで治安もいいところです。アンティークな部屋に住んでいる友達はいろいろとトラブルが起こって、その度に大家さんにランデブーをとり説明して修理してもらったり、修理までに時間がかかったりして大変そうでした。また古い建物だと天井が高くて暖房費がかかると聞きました。

歯が痛くなったときは大変でしたね。歯医者さんにかかったとき以外に、駐在がいてよかったと思ったことがあれば教えてください。
インターネットが全くつながらなくなった時がありました。その時、いろいろと説明書を出して読んでみたのですがフランス語もわからないし、電話番号が書かれているけれど、電話したところでどう言っていいのかわからないので、駐在員の方に相談して来てもらって対処してもらいました。フランステレコム側に問題があって2、3日で工事するからそれまで待てということでした。

夜遅くに帰宅するときなど、そんなに安全面に不安を感じたことはないでしょうか?日本にいたころに比べて夜の外出や終電(終バス)に乗った時緊張しましたか?夜間の外出について、今後の留学生へのアドバイスがあれば教えてください。
不安はありませんでした。
例えばオペラに行って見終わるのは大体夜11時くらいですが、みんな一斉に地下鉄などに乗って帰るので駅や電車内は賑やかです。最終の地下鉄に乗ったときも、そんなに怖い感じはしませんでした。夜中1時過ぎに友達の家のパーティーが終わって「1人だったらちょっと怖いかもね。」と友達と話しながら一緒に歩いて帰って来ました。
私の滞在期間は幸い何もありませんでしたが、日本人で携帯電話を盗られた人もいます。
PART DIEUのショッピングモールやギャラリーラファイエットの辺りは街灯も暗く人がたむろしていることがあります。
夜間の外出に限らず、生活に慣れてくると気が緩むときがあるかもしれませんが自己防衛だけはいつも心掛けて置くべきだと思います。実際TGVの中で荷物を盗られそうになったのでいつどこでどんな目にあうか分かりません。緊張する必要はありませんが貴重品だけはいつも注意しておく必要があります。
リヨンは比較的安全だと思います。地元の人を見ていると手提げかばんの人もいますが斜めがけかショルダーが多いです。それにバッグにはファスナーが付いてて、開けっ放しで歩いている人はあまりいないです。開けているとしたら、入れているものは本とかで、貴重品は大抵ポシェットに入れています。

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